メンタル不調者を減らす為の「ストレスチェック制度」が逆に不調者を増やすマッチポンプ化の危険性

満を持して義務化されたストレスチェック制度。上手くワークして健全な企業内環境、ストレスフリーの世の中になっていくといいなと期待している部分もあるのですが、一方で今回の義務化において問題点も少なくないなと個人的に危惧していたりもします。

 

ストレスチェック制度の義務化がマッチポンプになる恐れが

ストレスチェック制度の義務化の話を最初に聞いたとき、僕は「これはあまりよくない(むしろ悪い)制度だなぁ」と率直に感じました。ストレスを感じてる人やメンタル的に落ち込んでる人を早期のチェックで見つけ出して、ケアをすることによって大事にならないようにするという意図はわかるのですが、この流れではむしろ「気づかなくてよい」軽微のメンタル不調者に対して「レッテル」を貼ってしまう危険性を感じます。メンタル不調者を減らす目的が、逆に増やしてしまう。マッチポンプのようなことになりそうだと危惧したのです。

 

メンタル不調者に自覚を促すのも大事だが、気づかせないのも大事

早期のチェックにより早期に治療なり休養なりをすることにで、重症のメンタル不調者を生まないようにするのがストレスチェック制度義務化の目的の一つだと思います。また個人も「少しストレスかかってるな」などと自覚することによって、自分から仕事をセーブしたり、環境を変えたりすることを促すのも今回の義務化の狙いでしょう。しかし「ストレスと気づかせない」で、周囲から改善していくのが結構大事なんじゃないかと思っています。

ストレスによってメンタルが落ち込んでいる人に「あなたはストレス多いし、メンタル的に不調です」という結果を突きつけても逆にさらに落ち込んでいくだけのように思えてならないのです。個人的な経験で言えば「レッテル効果によってメンタルの状態は良くも悪くもなる」と考えています。

 

一度貼られたレッテルを取り除くのは難しい

「自分はメンタル不調なんだ」と自覚して、それをふまえて能動的にストレスを取り除くように動くケースというのは非常に稀のような気がします。むしろ「自分って…」とどんどん闇に入っていく可能性の方が高いのではないでしょうか。レッテルを剥がすのはとても難しい。

 

従業員がメンタル的に悪い状況になってしまった際に企業ができることは少ない

そのような悪い状況に社員が陥ってしまった時、企業側でできることというのは想像以上に少ないです。今回のチェック制度では従業員が結果を受けて自ら会社に医師面談を申し出る必要があります。そして企業はその申し出に対して医療機関に面談の依頼をし、医師等が当該従業員と面談をする。そういう流れになります。なかなか従業員にはハードルが高いですし、従業員が申し出をしない限り、企業側は基本的に個別対応はできません。

個人情報の問題もありますが、チェックの結果は個別判断できない状態で企業にサマリーを戻し、企業としてはそのデータを元に社内環境の改善や、マネジメント層による従業員の日常的なケアなどをやっていくしかないのかなぁと思っています。チェックを受けた本人に健康診断のように個別結果が渡されないのは従業員としては少し気持ち悪いかもしれませんが、「このチェックはそもそも個別判定するものではなく、状況を知るためのもの」というような趣旨に制度自体を調整していく必要がありそうな気がしています。

 


[記事公開日]2017/02/03